25年前に、
有料老人ホームで仕事をさせてもらって以来、
人の幸せとは何か、というのが私の永遠のテーマである。
有料老人ホームでは、
入居者に幸せな生活を送ってもらえるようにするのが仕事である。
仕事が終わってから、夜に、
哲学者プラトンの本や、聖書の読書会 などしながら、皆で考えてきたのが懐かしく思い出される。
今でこそ、
介護の理念は自立支援だと言われているが、我々は、もう随分前から、
自立こそが人の幸せだということに何となく気が付いていた。
ただ、私の感覚では、
自分の行動は自分で決めるのが当たり前であり、それを人に依存するのは、その人にとって真の幸せではないと考えていた。
最近、いろいろな本を読んだり、いろいろな人の話を聞いて、もう少しいろいろ気付くことができた。
幸せに生きるとは、
人に依存することなく、自立すること それからもう一つ大事なのは、
何事も執着することなく自由に生きること
どうしても、人は、
何かに執着して生きている部分はないだろうか
たとえば、介護されている人の場合、
どうしてこんな身体になってしまったのかと嘆き、そこから一歩も前に進めなかったり、若い人が、
仕事の待遇に不満ばかり言って、何もそれから行動を起こさなかったりする。
こんな人の話を聞いていると、
自分ではどうしようもないことは、早くあきらめてそれを受け入れないと、決して幸せにはなれないなと、考えてしまう。
自分の幸せが、
周りの環境に左右されるようでは、自由ではない
極めて
不安定なものになってしまう。
もうひとつ、人には
こだわりがあり、できるだけ、その
こだわりから外れないように生きているのではないだろうか
たとえば、同じような服を着たり、同じような道を歩いたり、同じような物を食べたり…
そうすると、毎日、毎日、
変化のない人生を送ることになる。もちろんそれが幸せだと感じればよいのだが、そうでない人の方が圧倒的に多いのではないだろうか
つまり、できるだけ
こだわりを捨て、自由に毎日毎日、新しいことにチャレンジしていくことが重要と思えるのである
もちろん、そう考えるのは
大変なことである。でも、そう考えられた人がきっと
幸せな人生を生きることになるのではと思う。